割増賃金請求訴訟の知識と実務
『割増賃金請求訴訟の知識と実務』を読んだ。
2012年に発売されたものなので少し古いが、弁護士及び裁判官により、割増賃金について基礎から専門的なところまで言語化されている。
判例の引用はもちろん、実際の賃金計算の例や表も豊富なため、初めて実務に携わる者にとっても理解しやすいと思われる。
最初に労働者側の立場からの解説があり、その後使用者側の立場からの解説があるのだが、立場の違いにより考え方が大きく異なっており、 いろいろと考えさせられる。
刑事系の書籍も被疑者・被告人側によった見解と捜査機関側によった見解に大きな違いがあることが多いが、労働法の場合でも論者の立場を理解した上で本や論文を読む必要があるだろう。
残業代の相談については、交渉や和解で決着がつくことが多く、専門外だと実務が見えにくい部分があるが、今後も実務の動向を知る手助けになる書籍が出版されることを願いたい。