ゆるーく法律するブログ

本とか映画とか。ねたばれ注意です。

嫌な感情の愛し方

心理カウンセラーである宇佐美百合子さんの『嫌な感情の愛し方』を久しぶりに読み返した。

タイトルにも惹かれたが、帯に「ネガティブな気持ちにふりまわされるのは、もうやめよう!」とあって気になった本だ。

 

タイトルが「なくし方」や「消し方」でない理由については、はしがきに嫌な感情なくしてしまうことはできないが、気にならなくする方法がいくつかあるからである旨記載されている。そして、最初のテーマで嫌な感情が悪者ではなく、味方につけるべきで、恐れなくなると人間関係が楽になると述べられている。

 

自分の感情を知る、整える、伝えるの三部構成となっており、個人的に最も共感したのは「整える」の部である。

例えば完璧主義について、

 

あなたが「できる範囲でいいや」と簡単に割り切れないのは、幼いときからずっと、○か×で評価を下されてきたせいなんですね。

(中略)数学の答えなら、正解は一つかもしれません。でも、人生は違います。○の自分も、×の自分も、△の自分もいていい。もっと言うなら、いて当たり前。

(中略)最初から完璧を求めることはないし、本当は、完璧なんて存在しないのです。

また、劣等感ついては、

 

(劣等感を卒業すべき理由として)あなたが持って生まれたよさを覆い隠すばかりでなく、あなたが持っている力を発揮させないように心を縛るからです。

(中略)最初は、つい人と比べてしまうことがあっても、その都度、「だれとも比べる必要はない」と自分に言い聞かせて、「ただひとりの自分」に意識を戻すようにしてください。

「後ろめたさ」を「感謝」に変えるというテーマについては、

 

たとえば「友だちを傷つけた……」と思ったら、その場で「それでも友だちでいてくれてありがとう」と感謝する。友だちに直接言えなくても、心の中でそっと言えばいいんですよ。

自分の存在価値を感じられない/無価値観というテーマについては、

 

あなたの心に巣食っている「どうせ私なんか…」という気持ちは、小さな無価値観です。その痛みを、今のうちにそっと手当しましょう。

(中略)「私はいつもこうなる」と潜在意識に刷り込んだ「イヤなストーリー」を見つけ出してください。

(中略)心が引き裂かれた体験を直視するのはキツイことですが、重要なことは、「あのとき自分がこのストーリーを作った」と気付くことなのです。

(中略)心からそうしたいと願うことを、何度も何度も唱えて、潜在意識に幸せなストーリーを染み込ませましょう。

自分に自信が持てないというテーマについては、

 

現実の自分を「これじゃダメ。こんな私は認められない!」と否定すればするほど自信を失っていく。

(中略)大事なことは、目の前の自分をいっさい否定しないで、両手を広げてしっかり受け止めることなんですよ。

悲観的に考える癖については、

 

不安は、浮かんでもいちいち取り合わないで放っておくに限ります。その変わり、「こんな将来にしたい」という希望に意識を合わせましょう。まだ起きてもいないイヤなことを想像する時間を、そうなってほしいことを想像する幸せな時間に変えるのです。

 

とある。

自他ともに認めるネガティブであるため、刺さるテーマが非常に多く、いちいち頷きながら読める内容だ。その都度具体的な対策も書かれているため、一つひとつ実行することもできる。

 

「伝える」の部では、自分で自分のファンになるというテーマがよかったが、ポジティブな考えを選び取る練習というテーマもよかった。

 

(ネガティブな人は)実際にネガティぶな考えに終始しているわけではなく、本当は、ポジティブに考えたいと一生懸命な人。

(中略)だれもが、ネガティブな感情とポジティブな感情の両方を心に抱えているからこそ、「どれを選びとるか」という意思がものをいうのです。

 

とあり、いったんネガティブを肯定してくれているところがいい。また、ポジティブな考えを自ら選び取れると専門家に言われることは、大きな希望である。

 

この手の本は、今まさに悩んでいて苦しい状態で読むとそんなことは分かっていると感じてしまうこともある。しかし、この本は著者が相談を受けた事例や著者自身のかつての悩みが具体例として出されているため、親しみやすく、押し付けがましい感じもない。非常に優しい言葉で丁寧に書かれているため、反発を持ってしまうこともないだろう。少なくともこの本を読んで考えている間は、マイナス思考を止めることができるため、一時的かもしれないがとりあえず手に取ってみることをおすすめする。